2020年05月13日 10:22

遠隔指導で大丈夫な人、大丈夫じゃない人

 今日から千葉テレビで、千葉市と千葉県制作の学習支援番組が始まりましたね。あとでYouTubeにもアップされるそうなので、放映時間中に見られなくても視聴できるようです。

 うちの娘が通う中学では、今週から学校ホームページに自習用課題が毎日アップされています。

 学校や行政など、各方面の方々が、子どもたちの学びを止めないために、それぞれにできる限りの努力をしているようです。心より敬意を表したいと思います。

 学習塾では、授業の動画配信やオンラインの双方向授業の実施が拡大しています。国語道場でも、4月の半ばよりオンライン双方向授業と、一部の学年・教科の学習内容の解説動画の配信を行っております。間もなく1か月になります。

 オンライン教材による学習というと、奇しくも塾長の私は、かれこれ1年ほどポーランド語をオンラインベースの教材で勉強しているところでした。ですから、その効果を偶然にも身をもって体験中だったわけです。

 昨日、ちょうど学習開始から1年ということで、単語テスト料15ユーロを年度更新で支払ったところです。その成果は、

1年間で562単語習得。このペースだと、3年間で1,700語程度になるでしょうか。来年から始まる中学英語の新課程では、中学3年間で覚えるべき単語数が1,600~1,800語ということなので、ちょうど同じくらいの学習量ですかね。このように、オンライン教材を使えば、ほぼ独学でも学校で学ぶのと同等の外国語学習は十分可能です。

 どうでしょうか。ここまでお聞きになって、どう思われますか?

 正直なところ、塾長はちょっと変わった人だなと思われませんか?

 いや、まさにそこが大事なところで、勉強をオンライン教材で進める、しかもそれを継続することができるというのは、「変態的」といっていいところがあるように思います。私のように、ショパンに近づきたいというよく分からないモチベーションのある人間であるとか、よほどの興味関心がないと学習の継続は難しいのではないかと率直に思います。その学習効果は非常に高いにもかかわらずです。

 遠隔指導でも大丈夫という人は、イメージとしては『チャレンジ』だけでもいける人というところではないでしょうか。基本的に独力で学習は進められるが、オンライン双方向授業で、どうしても自力で解けない問題や、関連する疑問点を質問してその場で教えてもらえることにメリットを見出せる人だと思います。

 遠隔指導の問題は、まさにこの辺にあります。まったく問題ない、むしろこの方があっているという人と、そうでない人とに分かれるのではないでしょうか。そして、割合としては、遠隔は合わないという人のほうが、大丈夫という人よりもだいぶ多いはずだという感じがいたします。

 理由は、良い悪いは別としまして、現実問題、勉強はやらされるものとなっているお子さんのほうが、人数としては圧倒的に多いからです。遠隔指導でも、例えば授業の動画配信であるならば、ただそれを眺めるだけになっている人や、最悪、見てもいない人は結構いるのではないでしょうか。

 お子さんの現状として、勉強の仕方そのものを指導する必要がある場合は、なおのこと深刻であるように思います。例えば、面倒くさがって数学の途中式を書かずに計算を間違えまくるようなお子さんの場合は、「式を書きなさい」と教えるだけではダメで(それでOKなら最初からそうはならないわけで)、何度も口が酸っぱくなるほど繰り返し注意する必要があります。こういうことは、オンライン双方向授業でも極めて難しい。

 単に学習課程を授業で教えるだけでなく、正しい学習習慣を身に着けるためのコーチが必要なお子さんへの対応は、現状の遠隔指導ではほとんど不可能です。たとえそのようなことが「可能だ」と喧伝するサービスが今後出てこようとも、それはただの宣伝文句にすぎません。もっと根本的で劇的な技術革新でも起こらない限り、無理でしょう。そうすると、今後考えられることは、遠隔でも大丈夫というお子さんと、そうでない大部分のお子さんとの学力格差が、これまで以上に拡大していくことです。

 そうしたことをよしとしないのであるならば、やはり教室での対面指導を、十分な感染拡大防止策を行う上で、認めていくしかないのではないかと考えています。もちろん、学力格差よりも「命」だという考え方はあろうかと思います。その「命」が、これから先80年程度生きていかなければならない子どもたちの人生が充実したものになるかどうかということとトレードオフの関係にあるのかは、誰も分からないところが難しいところではありますが。

—————

戻る


友だち追加

お問い合わせ先

国語道場(西千葉)

稲毛区緑町1丁目27-14-202
千葉市
263-0023


043-247-7115
お電話のお問い合わせは、火~土曜日の午後3時~9時
メールは24時間承っております。