部活は本来レジャーであることを理解できない日本の中高生
国語道場では現在夏期講習のお申し込みを受け付け中です。最終的な締め切りは、7月13日(土)午後7時半となります。
夏期講習のお申し込みの際は、日程表のご提出をお願いしております。学校の部活動の予定が発表されるのが例年夏休みの始まる1週間前ころということで、一度ご提出いただいた日程をこれから変更されるという方はたくさんいらっしゃいます。
もちろん、国語道場の夏期講習はそのようなことが可能なシステムですので、そのこと自体一向に問題はありません。しかし、いつものことながら少々違和感を覚えることがあります。それは、一日たりとも部活動を休むことがないように、きれいに授業の予定を調整しようとするお子さんが少なくないことです。
そもそも部活動は課外活動です。それは趣味や楽しみでやるものです。もっと言えばレジャーであり遊びです。
草野球の大好きなお父さんがいるとしまして、そのお父さんが野球の練習や試合の合間に仕事に行くということになったらどうでしょうか。そんな旦那さんとは早々に離婚したほうがよろしいでしょう。
部活などというものは本来はこの草野球、草サッカー、草吹奏楽の類にすぎません。しかしながら、多くの子どもたちの価値観に基づくと、部活の日程を最優先に勉強の日時を調整するという倒錯した行動が当たり前のことになっています。
最近、「勉強と部活とどちらが大事だと思っているのか」ということが面談で話題になったのですが、そのお子さんは真剣に「同じくらい」と答えていました。その時は少々面食らったのですが、しかし子どもたちがこのような感覚になってしまうのは無理もないところがあります。なぜなら、多くの大人が実際に勉強と部活を同じくらい重要なものと扱っているところがあるからです。
「大人」と言っても色々な立場の人間がいますが、一つの例として学校の先生を考えてみましょう。学校の部活動の問題に詳しい名古屋大学の内田良さんは、インタビューの中で次のようなことを言っています。
(部活動の問題には、教師の)長時間労働や休日出勤を「子どものための献身的な行為」として美化する、根強い教員文化があります
まあ、学校の先生ですよ。その先生がとんでもなく朝早い時間からきて夕方遅くまで残ってくれたり、土日も学校に来てくれたりしているわけですよ。子どもの感覚からしたら、それは勉強と部活は同じくらい大事なものだと思ってしまいますよね。
しかし冷静に考えてみればこれほどおかしな話はありません。学校の先生の本来の仕事は、子どもたちに知識や技術を教えることです。はっきり言って部活動なんかに大量の時間と労力を割くんだったら、それを子どもたちの学習の定着に向けるべきなのです。もちろん、趣味の課外活動に子どもたちと一緒に汗を流したり楽しむことを悪いとは言いません。しかしながら、学校で教わったことを十分に身につけられていない子どもが現実にたくさんいる中で、そんな遊びばかりやっている場合ではありません。
こんなことを申しますと、「お前は塾なんかをやっているからそういうことを言うのだ」などと思われる方もいることでしょう。
それは否定はしませんが、実際高校時代の私は、熱血部活生徒でした。部活は吹奏楽部でした。授業は部活動の体力温存のためのお休みタイム。寝ても覚めても部活のことばっかりで、家庭学習なんてほとんど0時間だったんじゃないでしょうか。それでその時は楽しかったですし充実もしていました。担当学年のコンクールでは金賞を受賞して目標だった県大会出場も果たすことができました。
問題はそこからです。当然のことながら大学に現役で進学することはできず、浪人しました。1年後無事に大学に進学し、そこではオーケストラに入ることにしました。ところが、自分の楽器の技術は大学のオーケストラで通用するものではおよそありませんでした。すぐにプロの個人レッスンについて1から練習をし直し、高校時代に「身についた」悪い癖を取り除き、ようやくまともな楽器奏者になることができました。
結局、高校で垂れ流した膨大な時間と労力は何だったのか。もちろん当時の友人たちとは今も交流がありますし、それはかけがえのないものですが、もっと効率よく、自分が本来力を入れるべきだった勉強とのバランスを考えるべきだったと、今では強く思っています。
多くの公立中学校や高校で行われているような、「下手だから」という理由で際限なく時間を浪費するような活動は続けていくべきではありません。部活動はあくまで趣味。その範囲内で確実に上達できるようにプロのコーチにつき、効率的に練習するようにしていくべきなのです。
まずは勉強の時間を確保することです。自分がやるべき勉強の量を見極め、それに必要な時間と学習計画を立てるべきです。その中で余裕があれば、気分転換として部活動を入れていくのが論理的にまともな考え方でしょう。こういうまともな考え方が通用するような世の中になってほしいと思います。
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