2019年04月18日 20:49

AI時代に求められる能力は、けっきょく基礎学力!「多様な人材」とかいうまやかしに騙されるな!

 今から10年以上前のベネッセ教育研究所のコラムにこんなものがあります。

 なりたい職業に見る「学習意欲と親のかかわり 

 要は、将来なりたい職業が明確な子どもは学習意欲が高い傾向があるということで、それではどうやって子どもに将来の職業の希望を持たせたらよいかという記事です。

 どうでしょう。この手の話は以前は結構よく耳にしたように記憶するのですが、ここ最近めっきり聞かなくなったように思われませんか?

 それはそうでしょう。近い将来AI(人工知能)が普及して人間に代わって様々な業務を行うようになり、その時には現在ある職業の多くがなくなるだろうなんて予想されているわけですから。「今ある職業から子どもの将来の希望を考えさせたってしょうがないのではないか?」と感じる人が増えているのではないでしょうか。その結果、上のような話を聞かなくなってきているということなのかなと想像しています。

 中学校では、2年次に職業体験が行われています。職業体験のテーマパークなんてものもよく知られています。もちろん、職業体験に中学生を受け入れている事業所さんたちは大変尊い活動をされているなと思いますし、職業テーマパークの運営も立派なものだと思います。しかし、子どもたちへの職業教育が、今ある個別具体的な仕事から考えるところから始まるのに、私は以前から違和感を覚えておりました。

 なぜなら、現実に専門的な職業に就く人は少数で、ほとんどの人は、一見したところ何の仕事をしているのか分かりにくいビジネスマンになるからです。子どもたちは、大人が思う以上にリアルな世界を感じ取っているものです。今一つ現行の職業教育が上滑りな感じになっているのは、子どもたちが将来は大方サラリーマンになるのだろうということを分かっていて、そのうえで大人が施している職業教育に仕方なく付き合っているといった側面があるからなのではないでしょうか。

 さて、では学習塾という立場で、お子さん方の将来の仕事に結びつくようなどのような学びを提供することができるでしょうか。

 答えを先に行ってしまうと、それは基礎学力、特に読解力だと思います。

 それじゃ今と同じでしょ?と思われる方も多いかもしれません。これからは、多様な価値観と多様な能力を持った人材が輝く世の中になるんじゃないですか?と。

 私に言わせますと、それは表面的なものごとの理解です。これからは、今以上に基礎学力が重要視される時代になるでしょう。これは、「AIの時代」には今ある職業の多くがなくなるという予想から、論理的に導き出せることです。

 どういうことか。今ある仕事の多くがAIにとって代わられる世の中において成功するために必要な特性とは何か。それは状況に応じて稼げる仕事に移っていける柔軟性でしょう。どうしたらそうした柔軟性を身につけることができるか。つまるところ読解力や数学などの基礎的な学力をしっかりと身につけることです。

 例えば、ある人が将来ある職業で働きたいと思っていたとする。大学に入学し、その夢の実現のために励んでいたところ、なんとその職業はどんどん機械化されて、人間が必要とされなくなってしまったとします。

 そんな時、強靭な読解力や基礎学力がその人に備わっていたらどうでしょうか。ただちに方針を転換し、これから人間が必要とされる職業は何かについてたくさんの本を読んだり、新たに必要な技術や知識を理解し身につけたりすることができるでしょう。

 このように柔軟に時代や状況の変化に対応できる力こそがまさに必要になるだろうということは容易に推測できます。そして、その柔軟性の背後にあるのは、読解力や数学などの基礎的な学力であるということもご理解いただけるのではないでしょうか。

 現時点でも、大企業や重要な官庁は、一流大学に通ったり卒業したりした人材を取りたがります。その理由は事務処理能力が高いからとかコミュニケーションコストが低いからなど色々考えられますが、やはり基礎学力が高いからでしょう。大きな企業は、それだけ業務も多岐にわたります。鉄道会社に就職したと思ったら外食の部門に回ったり、石油会社だと思っていたら健康食品を作ることになるとか、そういうことはいくらでもありますよね。基礎学力の高い人が好まれるのは、会社の方針で全く新しい事業を社員にやらせることになったときに、彼らがそのために何が必要かを短時間で理解し、対応できる力があると考えられているからでしょう。

 AIの普及に伴って、基礎学力の高い人に対する需要は今よりももっともっと高くなると断言します。多くの大企業が求人にあたって、「多様な人材」を求めると嘯いているのは、上に論じたような変化に柔軟に対応できる人ということを言っているのであって、言語能力も理解力もイマイチな人でも働けますなどという意味では断じてないと理解する必要があるでしょう。

 基礎学力、特に読解力。われわれ大人は、これを子どもたちにしっかりと身につけさせることにしっかりフォーカスして、出来ることをやっていかなければいけません。国語道場は、そのための対応ができる塾です。

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