2016年09月13日 10:15

親がこれくらい鷹揚だと、子がN響のコンサートマスターにまで出世するのかと

 昨日、今日と千草台中と新宿中の期末テストが行われたので、おとといの日曜日は恒例の日曜道場でした。

 国語道場の中学生は、緑町中と轟町中の生徒が中心ですが、どちらも期末テストは先週に終了。それなので、今回の日曜道場の対象生徒は2名しかいませんでした。まあ、それでも、来て勉強したいという生徒がいれば、1人でも開けますよ。

 轟町中のK君も、自習に来てくれました。

広島カープのリーグ優勝が決まった翌日ということで、独りお祝いモード。25年も優勝しないもんだから、こっちはだいぶ頭に白いものが混じるようになってしまった。

 千草台中のM君、日曜道場オープンと同時に、連続7時間の猛勉強。努力が実りますように!

 帰宅後、たまったテレビ番組の録画をいくつか見ました。その1つ、NHK-Eテレの、「クラシック音楽館」が非常に面白かったです。

 番組本編は、NHK交響楽団の夏休み特別公演「N響ほっとコンサート」の様子。

 コンサートマスターの篠崎史紀(愛称まろ)さんが、少年時代、「ウルトラセブン」が好きすぎて、テレビの前にオープンリールのテープを置いて番組を丸ごと録音し、それを何べんも聞き直していたと話していました。

 いや~、すばらしいですね。このマニアっぷり。私も時代劇のBGMが大好きだったので、それを保存して聞きたいという気持ちはよく分かります。というか、オープンリールの録音機材を持っているというところがすごい。

 番組後半は、このまろさんと指揮者の広上淳一さんとの対談で、これがまた更に面白かったです。特に、まろさんの父親の教育論の部分が白眉でしたね。

 それほど広く多くの人が見ている番組とも思われないので、その部分だけ紹介したいと思います。

父 「人間には誰しも欠点がある。でも、欠点は自分で知っていればいい。直す必要はない。」

まろ 「なんで?」

父 「直んねえから。短所は直らないけど、長所は伸びる。長所が伸びてくると、短所をくるんでしまう。そうすると個性と呼ばれるものに変わるんだよ。だからいいところだけどんどん伸ばせ。

 この言葉、子どもに向けたものとしても素晴らしいですが、親として子どもとのかかわり方についても、重要なことを示唆していると思います。

 とかく、親は子どもの欠点を直したがります。もちろんしつけの範疇で重要なこともありますが、こと勉強面で、口うるさく過干渉になってしまう人は少なくないようです。

 やれ時間の計算ができない、割合が分かっていない、文字式の計算でつまってしまう・・・。

 大人から見て簡単そうに見えることでも、初めて習う子どもにとっては今一つ解しがたいものであることはよくあります。そういうとき、大人がやるべきことは、子どもの理解の遅いことをことさらにあげつらうことではありません。

 大人としては、まだ自分の子どもは、その習ったことをすぐに会得するほどに成熟していないだけなのだ、だから自分にできることはこの子の成長を待つことだけなのだということを理解しなければなりません。

 こういうことが分からずに、目先の子どものできないことを責め立てて、結果子どもをどんどん勉強嫌いに、悪くするとあらゆることに関心意欲の低い状態にしてしまう親御さんが少なくないようで、まことに残念に思います。

 こう言うと、「ただ待っているだけで、入試に間に合うんですか」とか言ってくる方もたまにいるのですけれども、少なくともそう親御さんがキャンキャン子どもに言うよりははるかにましであることは断言できます。

 まろさんの父親の、「短所は直らない」という言葉ですが、子どもに対する教えというよりも、ややもすると子どもの成長を待てずに、さして本質的でもないことをあげつらって子どもを潰しかねない親という存在である自分自身への戒めであるようにも聞こえました。

まろ 「努力とか勉強とかってする必要がないと思ってんのよ」

広上 「今、全国の中高生が大喜びしてますよ」

まろ 「なぜかというと、努力とか勉強とかって人から強制されるものだから。だけど、好奇心に勝るエネルギーはないのよ。(中略)だから子どもに教えるときは、好奇心になる対象物をどんどん出していくことが大事。」

 まろさんの父親がそのようにしてきたということだと思いますが、素晴らしいことですね。子どもが興味を持ちそうなこと、それこそ何でもいいと思うのですが、海遊びでも、スポーツでも、音楽でも、鉄道でも、漫画でも、算数でも、どんどん子どもに提示していく。それに食いついたら、子どもが勝手にどんどん上達していく。

 親というのは、どうも子どもの苦手なもの、できないことばかり気になってしまうものですが、そんなことよりも子どもの好奇心を持ちそうなものを示すことに力を入れる。

 とても得意なものとか、夢中になれるものがある子どもは、そのうち苦手や弱点を克服していくように、私も経験的に感じます。ですから、ここまで開き直った子育てのほうが、親子とも前向きになれるし、最終的に多くの実を結ぶものなのではないかなと思いました。

 親というものがここまでどんと構えられるものかと、その度量に驚きを禁じえません。そう思って、まろさんについてちょっとググってみたんですが、お父さんは教育者だったんですね。北九州で50年にわたって音楽教室をやってきた方だそうです。

 私としても、大変勉強になりました。

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